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ゲームデザインPodcastメモ-第3の柱~選択~
15.09.201911 Min Read — In others

ゲームデザインの Podcast がとても良き。
Note にまとめられてない 3 章について勝手にまとめる

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ボードゲームのデザイン 第 3 の柱~選択~

1.前段:ゲーム理論

  • ゲーム理論…戦略的な状況における意思決定を数学的にモデル化したもの
  • ノイマンの伝記「ゲームというのは数字の詰まった長方形のマトリクスに過ぎない」

    • じゃんけんは3*3=9通りの結果のマトリクス
    • プレイヤーが 3 人なら 3 次元になる → 実際のゲームになるととても複雑

もし選択がなかったらどうなる?

  • 実行はするが何も意思決定が行われない。→ 坊主めくり、すごろく等
  • 選択がなければプレイヤーはいらない。

選択の種類

  • 意味のある選択

    • ゲームに影響する(★ こちらにゲームの主軸がある)
  • 意味のない選択

    • ゲームに影響しない
    • 根本的に無意味な選択
    • 駒の色を決める、名前を決めるなど
    • 結果的に等価値で無意味な選択
    • 一見意味がありそうだが、計算してみると価値は同じ
    • 坊主めくりの山札が 5 つあって選択するような場合もランダムなので等価
    • 結果的に目標には影響しない選択
    • ゲーム終盤、これ以上勝利点が増えないのにどの資材を買うか選ぶ状況など
    • これらはゲーム上はあっても無くても良い
    • これらは取り除けるなら取り除いてしまって良い
    • ただし、プレイヤーにとって意味があり必要さ(楽しさ)を生む場合は残しても良い
要点:
- 単位時間あたりの「意味のある選択」の質や量が、ゲームの面白さを生み出す。
- 意味や目的がないなら除いてしまったほうが良い。

選択におけるジレンマ

アナログゲームには選択のジレンマがあるから面白いとよく言われる。

  • どっちも選びたくない、どっちも選びたい、というような板挟みで悩む状態。
  • これらは、選択の意味がゲームの面白さに寄与している1つの例
  • ただし、意味のある選択の中に無意味な選択が存在する場合がある。

【注意点】支配戦略

  • ゲーム理論用語
  • 他のプレイヤーがどの戦略を選択したとしても、最適になる戦略
  • 明らかに有利な選択肢があると他の選択肢は無意味になる

    • 〇 × ゲームのように勝ち方が決まっているもの
    • レベルを上げて物理で殴ったほうが強い、など
  • 逆に、明らかに他より劣った選択肢も同様
要点:
- 選択肢は等価ではいけない。また、明確な差があってもいけない。
- ゲームとしては、どれを選ぶべきか隠匿させ、手掛かりをプレイヤーに渡す必要がある。
- 等価と明確な差という両極の間にスイートスポットがある。
- ゲームデザインでは、これを調整することが大事。
- どの選択を有利と感じるかは人によって違う。
- プレイヤーがどう感じるかを考えながらデザインする。

ゲームデザインにおける3つのキーワード

  • 12 の柱とは別に、ゲームデザインにおける重要なキーワード 3 つ。
  • 「選択」という要素にはこれらが詰まっており、ゲームデザインの中でかなり重要。
  • 意味

    • 何事にも意味が無ければならない。意味こそが問われる。
  • スイートスポット

    • どんなものにも単純な正解はなく、ゲームによって最高の中間点をみつけ無ければならない。
  • 感覚

    • ゲームがどのように作られても、結局は受け取り手の感覚によって変わる。

選択肢の用意の仕方

選択はプレイヤーのアクションとして現れる。
アクションによってゲームへの働きかけ。
内部処理が発生 → 新たな状況が掲示される → それを踏まえて次のアクション → 繰り返し

選択肢の掲示パターンは以下の 4 種類

  1. 単一の選択肢しか選べない(原始的な方法)

    • すごろくのようなもの。サイコロを振ることしかできない
  2. すべての選択肢が用意されている

    • メニュー式の選択
    • ルール上できることが、全て何でも選択可能
    • パンデミックのように、サマリカードをプレイヤーに渡しそれを見て選択させることが多い
  3. 限られた選択肢をプレイヤーに渡す

    • タイミングや条件によって制限がかかる
    • これはメリットが多いと言える
    • 選択肢を絞ることで思考時間を抑制できる
    • 反復的なゲームプレイを防ぐ
    • 盤面によって選択が変われば、ゲームプレイを多様化させる
    • 同様に、選択肢を減らすことで結果的にゲームの多様性を付ける ★
    • どの選択肢が可能なのかプレイヤーに明示する必要があるため、UI として表示するのでプレイヤビリティが上がる(サマリカードを見るより盤面上で表示されてる方が分かりやすいことが多い)
  4. 開かれた選択肢

    • 選択肢を規定しない。
    • 大喜利など。何をやっても、何を言っても良い。
    • プレイヤーの行動を制御するのが難しくなる。アクティビティ寄りになる。
要点:
選択をうまく制限するとゲームの多様性や円滑なゲーム進行につながる。
メリットも多く、現代的なアナログゲームの主流になっている。

アクションの層

アクションは選択したら終わりではない。3 層に分かれる。

  1. 選択…アクションのフロントエンド。プレイヤーはそこに働きかける。
  2. 実行…フロントのバックエンドの仲介をするもの。
  3. 解決…バックエンド。触れることができない自動的な処理によって結果が返る

実行や解決を、選択のデザインに利用する

  • 実行…そのアクションを取れるかどうか。

    • ジェンガの例…このピースを取りたいが、取れるだけの器用さがあるかどうかによって選択が変わる。
  • 解決…選択の結果がどうなるか。

    • 効果の違いの例…結果が固定ではなく、未来予測できないような場合
    • 数ターン後に 2~4 のいずれかの結果が返る。
要点:
各アクションの価値づけを単純なものにしない
スイートスポットを見つけさせることに使える。

【注意点】分析麻痺

  • 状況を分析しすぎて動けなくなってしまう状態
  • ある選択の分析につかうコストが、それによる見返りを上回る状態

例:ドミニオンで 1 金分の差しか変わらないのに 15 分も考え込んでしまう

  • これを防ぐためには、どこかで分析を諦めさせるしかない。
  • チェスのような完全情報ゲームの場合は持ち時間のリミットによってゲームを成り立たせている。

分析麻痺がおこる条件

どれかに該当しないようにする

  1. 解を出すのに相当な量の分析が必要なこと
  2. リターンを確実に
  3. コストやリスクがかからないこと

分析麻痺対策について

  • リアルタイムゲームは思考時間がコストになるので対策ができている。
  • 各プレイヤーの選択が同時選択の場合は、じゃんけん的に相手の選択次第になるから分析を打ち切る
  • あるいは、あるラウンドで起こることは完全情報ゲーム、ラウンドの間に乱数の発生があり、そのタイミングより未来のことは考えてもしょうがないという設計にすることで分析を打ち切る。
  • 乱数に対しても期待値で考えてしまうプレイヤーもいる。
  • なるべく発生を防ぐ設計にしよう。

選択の例外

  • 全体に対する意味のある選択の密度が高いほうが楽しい。
  • しかし、ゲームの選択肢には意味がなければならないとは限らない
  • 難しい選択の合間に、自明の選択をあえて入れることで緩急がつく。

    • 1 つの戦略に特化していく拡大生産系では、後半につれて選択肢が縮まっていく
    • これには批判的意見もあるが、プレイヤーが積み上げたものに対する報酬とも言える。その単調さに喜びを感じる場合は正当化される。
要点:
選択に意味がなければならないというのは自分の行いに意味を感じられなければならない。
プレイヤー自身が「やってる感」を感じられなければならない。
自分自身の行動の結果であるという実感があれば単調な選択も正当化される。

ゲームを左右する要素

「選択」はゲームの結果を左右する要素の1つでしかない。
それ以外にどのような要素があるか。

  1. 選択

    • 現代はここに重点を置いている
  2. 実行

    • プレイヤーがそれを実行できるか。反射神経、コマンド入力、ジェンガのような器用さ、器量
    • 寄りすぎるとスポーツになってしまう
    • 一般的なすぽーつはここに重点を置いている
    • ランダム性
    • ダイス、カードドロー、ルーレット
    • 古典的なものはこの要素が強い
  3. 政治(ポリティクス)

要点:
基本的に「選択」に主眼を置く必要があるが、
「選択や実行」は個人によるもののため、結果の明白なソリティア(1人ゲーム)になってしまう。
個人ではコントロールできない「運や政治」の要素を含めることでバランスを取る必要がある。
このバランスは難しい。
Tags:  UI/UX